取材を兼ねた旅行で、
ミナス・ジェライス州へ。 この州の主たる産業は農業と牧畜。 ことに農業は、70年代に日本、 ブラジルが双方7億ドルづつを融資して 「セラード」という痩せた土地を開発した。 言い出しっぺは田中角栄である。 1970年代はじめ、アメリカは自国の飼料用穀物の不足から、大豆輸出を禁止した。 世界が混乱する中、アメリカ政府の報告書には、 「アメリカの最終兵器は食糧である」と記されていた。 畜肉を喰らうために他国の飢餓を顧みないファックな国。 田中角栄はこの危機をいち早く感じ取り、 大豆の新生産地をブラジルにと発起したのだった。 2005年現在で、日本の大豆の国内自給率は4%。 つまり、96%を輸入に頼っている状態である。 1980年はじめ、この96%はほぼ、アメリカ産大豆であった。 現在では72%がアメリカ産、17%がブラジル産、である。 頑なに米国産牛肉を入れない日本政府の背景にあるのは、 もしかしたら「ファック・アメリカ」な態度なのかも知れない。 さて、このセラード開発は見事に成長した。 1アールあたりの収量は、アメリカを抜き世界一位である。 しかも2001年から3年連続である。 ※1アール=100ヘクタール=1万平方キロメートル この数字は、今やブラジルが大豆生産にかけて、 世界一の技術を持っていることを意味している。 実際、最先端の農場では、屋外カメラで作物を24時間監視、 水まき、施肥なども、遠隔操作で行い、 経営者はイスに座りモニターを見ながら作物を育てているという。 例えば農薬を散布する場合、一メートル四方あたりの害虫の数を正確に数え、 その数によって、○日後に撒く。というギリギリの計算をたてる。 土地が土地だけに散布する量も半端な量ではないため、 採算ベースに乗るように調整するのだ。 アメリカの総作付面積が2926万8000ヘクタールであるのに対し、 ブラジルのそれは1846万9000ヘクタール。 しかしながら総生産量では6579万5000トン対5153万2000トンと、 急速にその差を縮めている。 もっとも、この年はアメリカの大豆が不作だったことと、 ブラジルの大豆が豊作だったことが重なり、 ブラジルは大豆成金が相当増えた訳だが‥‥。 開発が行われた「セラード」にかんして言うと、 セラード自体の面積は2億ヘクタール(日本の国土の約5倍)。 そのうち開発可能な面積は1億2千700万ヘクタール、 現在農地として使用している面積は4千700万ヘクタール。 すなはち、まだ8千万ヘクタールの土地が手つかずで残っている計算だ。 日本政府による「セラード開発」は終わったわけであるが、 もしブラジルがその気なら、アメリカの最終兵器は、不発弾と化す。 計算上、このセラードは10億人分の食料を賄うことが出来るのだ。
by vladivost0k
| 2006-03-24 19:06
| カナタ
|
No Alternative
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