校正が終わり、300枚ほどの赤入れ原稿をEMSで送ったのが4月の2週目。
それから到着の連絡以外は何の音沙汰もない。 不安になってメールを送るも、返事はなし。 ちゃんと指示が反映されているか、不安という気持ちと、 もういいや、という気持ちで愛憎半ば。 ヒマなので、図書館に入り浸っている。 で、藤子不二雄の希少本『二人で少年漫画ばかり描いてきた』を読んだ。 藤子不二雄はトキワ荘時代初期、限界を超える膨大な仕事を受注してしまう。 アセる気持ちを和らげるためか、気分転換のためにか、 ふたりは郷里の富山に場所を移して仕事をしようとする。 ところが、郷里ではまったく筆が進まなくなり、 ほとんどの雑誌の原稿を落としてしまう。 山のように届く各雑誌社からの請求の電報や速達の督促状は ある時点からフッと来なくなり、最後に 「ゲンコウオクルニオヨバズ ホカニタノンダ」 という事後報告が送られてくる。 この本にはそのときの記念撮影が載っていた。 こんな、漫画家生命が絶たれるという一大事なときに 記念写真を撮るなんて、すごい。 ![]() 実は、自分もちょっと似た体験をしている。 11月くらいに矢のような催促を受けたのだ。 毎晩のように国際電話が掛かってきて、つらかった。 他に頼むから資料を全部送ってくれ、とも言われた。 自分たちは何もしないでこっちに丸投げしているのに、 どうしてそんな案が出てくるのか、そんなに俺が信用できないのか、 とてもショックだった。 何のためにこれだけ時間をかけて無給でやっているのか、と憤慨もした。 でも自分には、そんな自分を記念撮影するなんて、発想も余裕もなかった。 余裕がないから憤慨が来ちゃうんだと思う。 今度迎える正念場では、是非自分を写真に納めておこうと思う。 #
by vladivost0k
| 2008-04-27 20:37
| 生活慕情
かつて、早稲田のジャズ研に所属していたタモリは大橋巨泉に
「マイルスのペットは泣いているけど、おまえのペットは笑っている」 と言われてジャズを諦めたそうだ。 校正をしながらipodでツェッペリンを聴いていた。 はじめはゴキゲンに校正が進まるも、 次第に集中力は削がれ、次第にボリュームを上げていた。 ドラムが笑っている。 なんて楽しそうなんだろう。 そんな表現を音源として残し、死してなお人々を魅了し続けるジョン・ボーナムにあこがれる。 ![]() 翻って自分。 せめて外ヅラだけでもと思って向かった鏡には、 歪んだツラが浮かんでた。 #
by vladivost0k
| 2008-04-07 19:47
| 日々の泡
![]() 丸の内は開発ラッシュが続いている。 明治生命ビルも建て替えていた。 同開発の象徴とも言えるのが、丸ビル。 自分も丸ビル開店の際に、グルメガイドその他の制作にかかわった。 打ち合わせが深夜25時からとかいう日もしばしばある、ハードな仕事だった。 暑い夏だった。 当然電車もなく、そんなときには新橋の赤ちょうちんに行った。 そんな時間に行っても開いている店自体少なく、 あっても食べ物は品切れ。 ふらふらと小径をさまよううちに、不思議な店に入った。 なぜか一見客の自分が店中の人気者で、 皆やたらとボディタッチをしてくるのだ。 つまみはお新香ぐらいしかなかったのだけれども、 マスターは客からの差し入れという鱒寿司を食わせてくれた。 たくさんのボディタッチとともに。 その後どうやって家に帰ったのか、或いは帰らなかったのか、 まったく覚えていない。 もう一度あの店に行こうとしても、たぶん見つけられないと思う。 トワイライトゾーンみたいだ。 #
by vladivost0k
| 2008-04-04 19:56
| 日々の泡
移民史のレイアウトがやっと届いた。
1月の頭に送ったのに、なぜこんなに遅いのか、さすがブラジル。 所用の空き時間を利用して校正をしようと、適当な店を探して丸の内を歩くと、 たまたまbanco do brasil(ブラジル銀行)があった。 ![]() うれしくなって、校正も大いにはかどる。 いつでも君を捜しているよ #
by vladivost0k
| 2008-04-04 19:33
| 日々の泡
鶴見にある曹洞宗の総本山、総持寺へ。
廊下には全国からの寄進が短冊に書かれていた。 ![]() お米沢山、蝋燭一対、長芋沢山、なめこ沢山、雑巾沢山、お米沢山、林檎沢山‥‥。 そうとう沢山なんだろうなぁ。 沢庵沢山というのがないのか探してみたけれど、それはなかった。 #
by vladivost0k
| 2008-02-24 19:31
| 日々の泡
大阪へ。
たまたま入ったカフェのトイレの内側のドアに、奈良美智風のイラストがあった。 ![]() 本物のような気もするし、偽物のような気もする。 でもやっぱり本物っぽい。 相方とギロンの末、本物だと思うけど一応聞いてみようということになった。 「本物ですか」 聞いてみたら 「ええ。来店された際に自ら書いてくれたんですよ」 とのこと。 やっぱり。 ホレ、言ったとおりだろ。と胸を張る。 審美眼なら「なんでも鑑定団」で鍛えているのだ。 しかしかっこいい。 描いた方もかっこいいし、それを売りにしてないでいるこのカフェのもかっこいい。 例えばこれがメニューに印刷とかされてたら、ふーん。で終わってしまう。 そういえば、5年くらい前に「ドラえもん展」を観に行ったときにも、 奈良美智はドコモの請求書の裏とかにドラミちゃんを描いたものを展示していた。 ドラえもんの身近さをよくぞここまで表したものだ!と感動した。 ロートレアモンの一節に 「手術台の上の、こうもり傘とミシンの出会いのように美しい」 という一節がある。 あるべきでないところにあるべきでないものがあると、別の何かが生まれる。 固定観念は悪だ。 #
by vladivost0k
| 2008-02-10 02:10
| 日々の泡
雪が降った。
2005年1月に真冬の日本から真夏のリオへ行き、 2007年6月に真冬のリオから真夏の日本に帰ってきた、 自分にとって、3年ぶりの冬。 非常に寒い。 寒さを感じすぎて困る。 ![]() そういえば、ブラジルで過ごしたはじめての夏もとてもつらかった。 やたらと疲れたし、すぐ眠くなったりした。 けど、2年目からはそんなに疲れなくなっていた。 帰国後すぐの夏も、とてもつらかった。 暑さ自体はリオの方が全然暑いのだけれども、 日本のぺったりとした暑さに身体が反応できなかったみたいで とても疲れた。 暑いところにずっと居ると、毛穴が開くそうだ。 それで汗を出やすくして体温調整をするという。 そんなことを勝手にやってくれてるらしい。 それは自分の意志ではなく、自分のなかの誰かが勝手にやっていることで、 じゃあ、自分の身体のどこまでが自分なのか、ということを考えるのが最近の暇つぶし方。 要するに、暇なのだ。 #
by vladivost0k
| 2008-02-04 01:58
| 日々の泡
大学時代の先輩方と飲む。
会うのはたぶん5年ぶり。 体型から髪型から全然変わってなくて、 逆に、共に大きく変わった自分がおもしろかった。 大学時代というともう10年以上前の話で、 今より一日、一週間の時間が長かった気がする。 今は時間の経つ時間が異様に速く感じる。 中島らもが何かでこのことについて、 10代後半から20代前半の頃は覚えること、体験することがたくさんあって、 それは忘れることがない。そうでないと生きていく上で支障があるから。 年を取るとそれが眠ってでもできるようになる。 眠ってできるということは記憶がないということで、 記憶がないところには時間もない。 というようなことを書いていた。 さすが、巧いことおっしゃる。 使っているうちに便利になっていく文字入力ソフトみたいだ。 ![]() 二次会に行く前、閉店間際のヨドバシカメラに駆け込んだ先輩は、 箱ごと「ジョジョ」フィギュアを大人買いして帰ってきた。 変わってなさがカッコよかった。 #
by vladivost0k
| 2008-02-02 01:55
| 日々の泡
国立博物館・ロボット博へ。
![]() asimoくんはまるで人間みたいな動きをする。 と思ったら、実際に人間の歩く動作を解析して、 「歩く」動作を「倒れ込む」ものにしたのだそうだ。 人間は「歩いている」のではなく、 「前に倒れて、そのまま倒れないようにもう一方の足を出している」とのこと。 さすがホンダ。 ホンダにしろナショナルにしろ、 偉大な創業者のイズムが着実に受け継がれていると思う。 村上 龍が何かの小説で、これからは「国」という思想がなくなり、 多国籍な「企業」という思想で世の中が動いていく。 といったようなことを書いていた。 すごい技術にとっては、 言語や習慣なんて簡単に超越してしまうものなのだろう。 例えば宗教がそうであるように。 #
by vladivost0k
| 2008-01-22 01:53
| 日々の泡
意味がないことにも、意味があるんだろうか。
![]() 帰国から半年。仕事をしていたとはいえ、世間的には無職のこの状態。 ![]() 意味がないことにも、意味があるんだろうか。 6月に行われる日本移民100周年記念式典に、 リオの100周年委員会は旅費を出して招待してくれるという。 リオに行くには移動だけで片道まる1日半かかる。 就職を決めて半年もたたないうちに「1週間休みください」というのは ちょっとアレなので、それまでは就職活動をしないことにした。 #
by vladivost0k
| 2008-01-21 23:05
| 生活慕情
川崎駅から徒歩15分ほどの四川料理店「松の実」の担々麺。
リオに居たときにはずっと恋焦がれていた。 酸味、辛味、辣味、甘味、塩味、うま味の絶妙なバランス。 これまでにたくさん担々麺を食べてきたけれども、ここのが一番おいしい。 ![]() と、思っていた。けれども、何かが違う。 昔の方が味がガツンと来ていた気がする。 担々麺が変わったのか、自分が変わったのか。 いづれにしても、恋は終わった。 #
by vladivost0k
| 2008-01-15 22:01
| 日々の泡
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No Alternative
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((百科事典と世界の不思議))
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